70歳以上の医療費上限引き上げか!世代間扶養と負担増
2016年度の診療報酬改定を巡り、月ごとの医療費の自己負担に上限を設けた「高額療養費制度」を見直し、患者負担を増やす案が政府内で浮上しており、70歳以上の負担を引き上げる内容で、財務省と厚生労働省が現在検討している模様です。
高額療養費制度は、所得や年齢に応じて医療費の自己負担分があらかじめ決定される制度であり、平成27年度の高額療養費制度の法改正では従来の3区分から5区分へ細分化されました。医療費が多くかかる70歳以上の高齢者には従来のままでしたが、いよいよ負担を強いらなければならなくなったという印象です。
シルバー選挙という言葉があるように、若年者が選挙に参加せず中高齢者が選んだ政党や民意が反映される世の中になっておりますが、それに付け加えて選挙対策や医師会などとの関係といったおかしな利害関係が今回の内容と関係していると言っても過言ではありません。
そもそも「不公平」といった格差は高額療養費制度だけではありません。65歳から受け取る公的年金においても70歳以上の世代は大きな恩恵を受けられる制度となっており、昭和36年4月2日以降に産まれた男女はこれに比べて全く恩恵が無くなってしまいます。さらにこの世代の医療費等の負担を強いるのは正に「不公平」と言わざるを得ないでしょう。
仮に70歳以上の高額療養費制度が法改正されたとしても、結局世代間扶養と言われる我が国においては、若年者や子ども世代をはじめ、さらに多くの負担増になるのは免れそうにないと見ています。
(以下は日経新聞からの抜粋です)
患者負担の上限引き上げ浮上 70歳以上の医療費
2016年度の診療報酬改定を巡り、月ごとの医療費の自己負担に上限を設けた「高額療養費制度」を見直し、患者負担を増やす案が政府内で浮上している。70歳以上の負担を引き上げる内容で、財務省と厚生労働省が検討している。制度改正で浮いた財源は、医療関係者が求めている医師の診察料や検査料引き上げの財源に充てる。ただ高齢者の批判を恐れる与党内の反発は強く、実現するかは不透明だ。
高額療養費の制度は、病気で高額の治療費がかかった患者が窓口で払う月々の負担額に歯止めをかけている。例えば60歳で年収約800万円の人が月100万円のがん治療を受けたとき、実際の負担は約17.2万円ですむ。
70歳以上になると自己負担はさらに減る。年収約800万円の70歳の人が入院して月100万円の治療費がかかっても、負担は8.7万円と現役世代の半分。ただ高齢化が進むなか、財政への負担は増している。
もっとも高額療養費の見直しには、公明党を中心とする与党の厚生労働族議員が強く反発。「17年度は消費増税も予定され、高齢者の負担は増やせない」「高齢者の負担を多くして、医師の給料を増やすのか」などの声が上がっている。
厚労省幹部も「与党の理解はまったく得られていない」と漏らしており、高額療養費の見直しには高いハードルがある。