個人の健康に国が関わる懸念
少子高齢化の時代に到来している我が国において、高齢者にかかる医療費が年々増加しております。このような背景から厚生労働省は会社員や公務員が加入している様々な保険者に対して健康づくりを競わせる制度を導入する方針です。
健康づくりを競わせる意味が全く分かりませんが、要は国(厚生労働省)が一定の成績評価の基準を設け、それよりも良い場合には保険料負担が軽くなり、悪ければ保険料負担が重くなる(ペナルティーが課される)といった仕組みです。何かにかこつけて、多くの保険料を徴収してやろうという魂胆が見えすぎて憤りを感じます。
しかも、この制度の対象となるのは健康保険組合や共済組合、協会けんぽといった保険者でいわゆる健康保険に加入している人だけに限定されています。国民健康保険の保険者である市区町村はこの制度の対象とはなっておらず、不公平感がどうしても付きまとってしまいます。
もう1つ付け加えさせてもらうと、成績評価の基準にも首を傾げたくなる問題があると筆者は感じています。例えば、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用割合が成績に加味される事が挙げられます。
確かにジェネリック医薬品は薬価が低く医療費の抑制に繋がる事は間違いありませんが、すべての人においてジェネリック医薬品が症状の改善になるとは限りません。ジェネリックに変更した事によってかえって症状が悪化してしまう可能性も否めません。医療費の抑制に照準がありすぎて、もっと総合的に考えなければ国民の負担が更に増幅してしまうと筆者は懸念しています。
健保の健康対策に競争導入…成績で負担増減方針
厚生労働省は、会社員や公務員が加入する様々な医療保険事業者に対し、健康づくりを競わせる制度を導入する方針だ。
健康促進や病気予防に優れた成果を出せば後期高齢者医療制度への支援金の負担を軽くし、成績が悪いと負担増のペナルティーを科す仕組みだ。健康への取り組みを活発化させ、医療費抑制につなげる狙いがある。今年度中に成績を評価するための指標を定め、2018年度からの導入を目指す。
競争方式の対象となる医療保険事業者は、大企業の会社員が加入する健康保険組合(健保組合)、国・地方の公務員の共済組合、中小企業社員の全国健康保険協会(協会けんぽ)。いずれも加入者の大半は、働く現役世代だ。
成績評価の標は、〈1〉糖尿病の重症化予防への取り組み〈2〉後発医薬品(ジェネリック)の使用割合〈3〉特定健診(メタボ健診)の受診率――などが中心となる見通し。
(読売新聞)