「詐欺防止に保険外交員」は本当に役立つのか
福岡県警と第一生命保険がタッグを組んで詐欺防止のために協定を結びました。新たな取り組みに対して素晴らしいと感じた一方で新たな課題や疑問点が浮き彫りになってくるような気がしております。
現在、生命保険の販売チャネルとして保険外交員から加入する割合が低下しています。長い目で見ると保険外交員にかかるコストや成果によっては更に低くなる可能性も十分に考えられるでしょう。このような時に、はたして詐欺防止の機能をずっと継続していけるのかには疑問点が残ります。
もう1つは新たな詐欺の手口です。保険外交員を逆手にとった保険外交員詐欺なども場合によっては考えられるかもしれません。実際、保険外交員ではないものの保険代理店の元経営者が顧客に対して詐欺を働き逮捕されるというニュースが報道されたばかりです。
特に詐欺に注意しなければならない高齢者に対し本来の目的である保険需要がどの程度あるのかにも着目しなければなりません。そもそも需要が無ければ訪問する事はあり得ないと考えるのが一般的です。保険外交員もボランティアではなく業務がありノルマが課せられている中で詐欺防止の注意喚起まで余裕があるのかどうかといった個人能力による影響も生じそうです。
取り組みが素晴らしいだけに、これらのような疑問や課題をどのようにクリアしていくか具体的な対策が必要になってくると感じます。保険外交員が詐欺防止を訴えかけるという違和感についても払拭しなければなりませんし、理解してもらうためにはまだまだ課題は山積みです。
(以下は産経新聞のニュース)
詐欺防止に保険外交員活用
福岡県警と第一生命保険は28日、保険外交員を活用した特殊詐欺防止策の協定を結んだ。福岡市と北九州市の2支社に所属する保険外交員計約1400人が顧客訪問の際、詐欺の例を示し注意喚起する。協定では顧客訪問時の注意喚起のほか、特殊詐欺を題材とした「サラリーマン川柳」を掲載したチラシの作成、配布も予定している。