相次ぐ自転車の高額賠償事故で、兵庫県の自転車保険が最高3億円までを補償。
兵庫県独自の自動車保険「ひょうごけんみん自動車保険」の補償内容が拡大されました。賠償責任については、日常生活での賠償事故も含め最大3億円まで補償されることとなります。
兵庫県は全国に先駆けて、2015年に自転車保険の加入義務化を盛り込んだ条例を定めました。
その背景には、2013年に神戸市で発生した自転車事故の高額な賠償請求があります。
当時小学生5年生だった男児が自転車で女性をはねてしまい、女性が意識不明となったこの事故では、裁判所は男児の両親に約9500万円ものの賠償を命じました。
この事故を受けて、兵庫県は自転車での事故による高額請求に備えて、自転車保険への加入を義務化する条例を制定しました。
自転車保険の保険金請求はすでに3,000件を突破
ひょうごけんみん自転車保険の加入者数は、2019年2月末時点で9万2359人。そのうち、累計で約3千件の保険金請求があったとのことです。
単純計算すると、自転車保険に加入している人のうち約3.2パーセントが保険金請求をしていることとなります。
街中では多くの自転車が走っていますが、100台のうち3台が事故の加害者となり賠償金を支払っていると考えると、自転車事故の発生頻度は高いと言えます。
自転車保険の支払い事例
ひょうごけんみん自転車保険の支払い事例が公表されています。
①自転車でぶつかり相手が死亡したケース
未成年者が自転車で歩道を走行中に70代女性に衝突。
女性は入院後に死亡し、約2500万円の賠償金の支払いが命じられた。
②自転車でぶつかり骨折を負わせたケース
無灯火で走行していた自転車が、歩行中の高齢者に衝突。
骨折の重傷を負わせてしまい、約1000万円の賠償金の支払いが命じられた。
いずれの賠償金もかなり高額ですね。
もし自転車保険に加入していなかったら、この金額をすぐに支払える人は少ないでしょう。
自転車乗るなら自転車保険は絶対に入っておくべき!
自動車には、万が一の交通事故に備え、自賠責保険の加入が法律で義務付けられています。自賠責保険は被害者を保護するための保険です。
しかし、自転車には保険加入は法律で義務付けられていません。
自転車は免許不要で誰でも乗れる気軽で便利な乗り物のイメージがありますが、自動車と同様に事故を起こせば相手にけがを負わせたり、最悪の場合は死亡させる危険な乗り物でもあります。
万が一、事故を起こして相手を死傷させた場合、自動車と同じく高額な賠償請求をされる可能性もあります。
加害者が未成年であっても関係ありません(責任は親にかかります)。
そのような乗り物であるにも関わらず、万が一に備えない人が多いのは何故でしょうか。
おそらく「自分は事故を起こさないから大丈夫」という根拠のない自信からだと思います。
事故を起こさないと考える人の中には、自転車の交通ルールを守っているから大丈夫と考えている方も多いかもしれません。
しかし、どんなにルールを守っていても加害者になることはあります。
これは自動車にも言えることですが、ルールを守って走行していても、歩行者が飛び出してくる等をして思いがけず加害者になってしまうこともあるのです。
自転車保険の加入は、被害者の保護はもちろんのこと、加害者になってしまった自分自身や家族のためにもとても大切です。
いま自転車保険の義務化が全国で進んでいる
自転車保険の加入義務化は全国に広まっています。
義務化の条例を定める自治体は、努力義務も含めると、16都道府県と3市町村におよびます(平成30年12月時点)。
おそらく、今後も条例制定をする自治体は増えていくでしょう。
自転車事故は年々増加していると言われています。
それに比例するように、事故の賠償額も高額化しています。
たとえ住んでいる自治体に自転車保険義務化の条例がない場合でも、自転車を利用する場合は必ず自転車保険に加入するようにしましょう。
参考サイト
・「ひょうごのけんみん自転車保険制度」のご案内
・人気の自転車の保険をズバッと評価!自転車保険口コミ(クチコミ)
(以下はニュース記事からの抜粋です)
自転車保険の賠償 最大補償額3億円に 県交通安全協会
自転車保険の「ひょうごのけんみん自転車保険」を手掛ける兵庫県交通安全協会などは、自転車以外の事故もカバーする新商品の販売を始めた。
賠償責任の最大補償額を従来の1億円から3億円に増額。年齢制限はない。
全国的に重大事故が後を絶たない中「もしもの時のための備えを」と加入を促す。
兵庫県は4年前、全国に先駆けて自転車保険の加入を義務付ける条例を施行した。
これに合わせて同協会などが開発した自転車保険には、今年2月末時点で9万2359人が加入。
累計で約3千件の保険金請求があったという。