日本生命が基本給ではなく成果給を上げるのは人件費削減のため

日本生命保険は、平成28年4月より3年連続で賃上げを実施する方針を固めました。職種別に見ていくと、営業職員は保険契約の数に応じて支給する「成果給」を上げ、内勤の職員は「一時金」の支給額を増額する方向の模様です。

結果的に賃金アップになるものの、営業職員及び内勤職員ともに基本給の引き上げやベースアップ(ベア)について、同社は見送る方向のようです。

社員からすると成果給が上がろうが、基本給が上がろうがどちらにおいても賃金アップになりますので、何も関係のないような気がすると思いますが、専門的な点から考慮すると、両者にはとても大きな違いが生じます。

最も大きな違いは、社会保険の負担でしょう。これは、今回のニュースにおいて、いつの契約数を成果給に含めるのか記述されておりませんが、4月から6月までに支給されると仮定すると、10月からの社会保険料負担が大きくなる可能性が生じます。内勤職員に支給される一時金も同様です。

2つ目の違いとしては、成果給は変動給与でありますから仮に翌年度の成績が悪化した場合、ベースアップに比べて会社は給与を多く支払わなくてもよい結果に繋がります。成果給が上がることは、営業職員にとって確かにモチベーションが上がるといった効果は期待される一方で、給与が安定しないといったデメリットがあります。

会社にとって営利を求めるのは当然のことですが、結果を残さなければ金はやらないといった方針がとても明るみになったニュースだと感じます。

(以下は日経新聞からの一部抜粋)

日生、3年連続賃上げ 基本給・ベアは見送り

 日本生命保険は今年4月に3年連続で賃上げを実施する方針だ。営業職員は契約数に応じて受け取る成果給を上げる。内勤の職員は一時金を増額する。営業職員、内勤職員ともに基本給の引き上げやベースアップ(ベア)は見送る方向だ。

 同社の営業職員は約5万2千人、本店や全国の支社で働く内勤の職員は約1万8千人。具体的な引き上げ幅は今後の労使交渉で決める。

 営業職員の給与は毎月受け取る「基本給」と契約数に応じて上乗せされる「成果給」からなる。成果給引き上げで多くの契約を獲得するほど上げ幅が大きくなるようにし、契約数の底上げにもつなげる。

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